> いのちの心得


この文章は動物病院診療日記を綴っておられる獣医師の管理人「ぽこ」さん
オリジナルの作品です。


1.命は、命あるものからしか生まれません
命というものは、命を持った存在からしか生まれる事はありません。
ただの無機物から、突然命を持つものがひょっこりと生まれる事はないのです。
命というものがはるか昔に生まれ、一度も途切れる事なく僕たちのところまで
つながっているからこそ、こうして今ここに、僕たちが存在しているのです。

2.僕たちは、他の命をいただくことによって生きています
人は、他の命あるものをいただかなくては、生きて行く事はできません。
動物だったり植物だったり、種類に違いはあったとしても、皆、生きて命を
持っている存在です。
ご飯を食べる時に「いただきます」と言うのは、命をいただくという
食べられる命に
対しての感謝を込めた言葉です。

3.それぞれの命は、それぞれが与えられた命の中で精一杯生きています
それぞれの命は、人間に食べられるために存在しているわけでも、人間に利用される
ために存在しているわけでもありません。
それぞれが、生まれ持った命の形を持って、自分が置かれた環境の中で、自分なりに
精一杯生きている命です。
人間が生きるということは、けして当たり前のことではありません。
自分達がこの世で生きる事は当たり前で、他の命を奪う事も当然だと思ったらそれは人間の傲慢です。

4.僕たちはひとりで大きくなる事はできず、ひとりで生きて行く事もできません
僕たちは、他の命とのつながりの中で生きています。
他の命をいただきながら、他の命に支えられて生きています。
僕たちが存在し、生きているということの周りには、たくさんの命の存在があるのです。
また、人が生きて行くという事は、いろんな人が暮らす社会の中で、他の人たちとも
つながり合いを持ちながら生きて行くという事でもあります。
自分以外の存在とのつながりを否定して生きて行くという事は、誰にもできません。

5.僕たちは命のリレーの中に生きています
僕たちは、命を授かり、自分達の生を送っている一方で、次の世代へ生と命を受け継ぐ
という役目も果たさなければいけません。
自分達が面白おかしく暮らす事ができれば、あとは知った事ではないというのでは
いけません。
僕たちは、はるかな過去から連綿と続けられて来た、「命のリレー」の中にいる存在です。
僕たちは、自分達が受け継いだものを、僕たちの代で台無しにしてしまわないようよりよい形で、次の世代に渡してあげなげればいけません。

6.命というものの向こう側には、「命を大切に思う心」があります
人は心を持った生き物です。
その心は、「命を大切にしたい」という思いを持ち、その思いは「命の大切さ」
ということの土台となっています。
なぜ命が大切なものなのかと問われれば、僕は「命を大切に思う気持ち」が
人の心にあるからだと答えます。
「命を大切に思う気持ち」は、社会の中で生きて行くための最低限のルールであり
人として最も大切なものです。
他人の生命と財産を、自分の欲望のために平気で傷つけるような人間には、社会の中
に存在している資格はありません。

7.与えられた命を"どう生かすか"は、自分次第です
何を目指し、どう生きるかという事は、それぞれの人が、生きる過程でそれぞれ
見つけて行くしかありません。
生まれる前から決まっているものでもなく、誰かから強制されるようなものでも
ありません。
自分で探し、見つけるという事は大変な事ではありますが、その分、自分なりの目標
を見つけ、それをかなえていくという過程は、とてもやりがいのある事だと思います。
また、生きていれば、悩んだり、迷ったりすることはたくさんあります。
でも、思い悩むということは、一生懸命生きているということの証でありそれはけして
無駄にはなりません。
今は悩み苦しんだとしても、懸命に悩んだその向こう側に、きっと光が見えてくるのだ
と思います。

8.生きているものはみな、やがて死を迎えます
命あるものは年を取れば、いずれ死を迎えます。
この世に命を授かるという事と、最後に死を迎えるという事においては、全ての存在は
一律に平等です。
やがて死ぬ時が来ると言うのは、命を授かったものが生まれた瞬間から背負わされて
いる宿命であり、死を迎えることのない命と言うのは、この世には存在しません。
どれだけ長い時間生きたか、ということよりも、どれだけ充実し良い時間を過ごす
ことができたか、ということの方が、ずっと大切なことなのだと思います。

9.なくなった命は、元に戻る事はありません
命は、失ってしまうと元に戻す事はできず、リセットをする事もできません。
すべての命は、一度きりのものです。
失われた時間と命を、元に戻す事は誰にもできません。
この世に授かった、一度きりの命をどう生かすかは人それぞれです。
また、生きていれば、自分にとって大切な存在を失うこともあります。
そんなとき、うしなったことを悲しみ続けるよりも、大切な存在と大切な時間を過ごせ
たことを喜び、感謝をする方が、きっと喜んでもらえることなのだと思います。

10.それぞれの命は、それぞれが世界でたったひとつの存在です
それぞれの命は、それぞれが異なる存在であり、同じように見えたとしても
まったく同じ命と言うのはどこにも存在しません。
生命誕生を最初から繰り返したとしても、同じ命が生まれて来る事はありません。
それぞれの命はそれぞれが、今という瞬間に、ここにしかない、オリジナルの存在です。
自分が自分として生を受けたということも、大切な誰かと出会えたということも
それ自体が二度と繰り返すことのできない奇跡なのです。


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